相続手続きを放置しておくとどのようなデメリットがありますか?
【相続人が音信不通になる場合があります。】
相続によって不動産を取得した場合、それが自分のものであると他人に主張するためには、相続登記をする必要があります。
ただし、登記をしなければ罰せられるということはありません。
「相続権のある私たち以外に遺産が行くわけがない。」という声も聞かれます。
不動産をめぐる相続問題は、すんなりいかないことが多く、今できる登記をしておかないと、後々、困ることが起きるのが不動産相続の常識なのです。
例えば、10年前にお父さんが亡くなり、相続手続きをせずにいたとします。
父名義のままの自宅には、お母さんと私と私の家族で住んでいます。
最近、80代のお母さんの体も弱くなり、自宅をバリアフリーにするために銀行から融資を受けようとしたら、「自宅に担保設定をするために、相続登記をしてください。」と言われました。
その場合に、私に弟がいたりして、その弟が数年前に亡くなっている場合には、相続登記をするためには亡くなった弟の妻と弟の子どものハンコが必要になります。
しかし、母と弟の嫁の折り合いが悪かったりすると、弟が亡くなった後には交流がなくなり、連絡がつくかどうかすらあやしくなる場合が多く、連絡がついてもハンコ代を請求される可能性があります。
このようなケースは、相続手続きをすぐしなかったために、必要な時に相続手続きがしにくくなった典型的なパターンです。
お父さんが亡くなったときに自宅の相続手続きをするなら、お母さん、私、弟の3人の協議でできました。
しかし、その後、弟が亡くなった場合には、弟の妻と弟の子どものハンコが必要になるのです。
長い間登記を放置しておくと相続権のある人が次第に増え、遺産分割の協議が整わなくなりがちです。
また、登記手続きに要する書類も多くなり、不動産をめぐる法律問題を余計に複雑にさせてしまう可能性があるのです。